奥歯の骨を抜いた商人と千匹狼
どんな伝承か
ある商人が志津川へ商いに出た帰り、米川を通ると、狼が河原に両手をついて大きな口を開けていた。よく見ると奥歯に大きな骨が引っ掛かっている。商人は恐ろしいのも忘れて骨を抜いてやった。四、五日たって再び米川を通ると、その狼が待っていて、袖を引いて沢へ下ろし、そこへ横になれと促す。言われたとおりに横たわると、狼は木の葉を集めて身体が見えないように掛け、その上に尻をついて「オシェヨーン」と鳴いた。すると狼の千匹連れが目の前をぞろぞろと通り過ぎ、商人は無事に助かったという。
原典より
むがす、むがす、あるあじんど(商人)が、すずがわ(本吉郡志津川町)さあじねェコ(商い)ねえったんだど。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。