淵の姉様が試す正直と欲
どんな伝承か
岩泉町に伝わる黄金の斧の話。正直な爺が淵の岸で木を伐っていて、手が外れて鉈を淵へ落としてしまった。たった一丁の大事な鉈なので淵へ入って探そうとすると、淵の中から美しい姉様が黄金の鉈を持って現れ、これかと問う。爺は、自分のは錆びた古鉈だと答えた。姉様は淵へ戻って古鉈を持って出て、正直をほめ、黄金の鉈も一緒に持たせた。爺の家はそのおかげで長者となった。それを聞いた上の家の婆は、怠け者の爺を淵へ行かせ、わざと鉈を投げ込ませた。現れた姉様が差し出す黄金の鉈を、それが自分のだと言って奪おうとしたため、姉様は不正直者と言って爺の頭を切り割り、その家は以前よりずっと貧乏になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。