沼河比売と大毘古命の縁
どんな伝承か
沼川郷の項に引く国邑志稿によれば、大己貴神が高志の沼河比売を娶って建御名方命が生まれたという。孝元帝の皇子大毘古命もこの地から妃を迎えたのか、その皇孫を建沼河別命と申す。古事記の水垣宮の段には、大毘古命を高志道へ、その子沼河別命を東方十二道へ遣わして従わぬ人々を平らげさせたとある。大毘古命が北陸道を平定したのも妃の沼河の家に縁があったからで、父子で出征したのだろうという。なお大和国訳語田の旧名を淳名といったかもしれないが、神淳名河耳天皇の名は高志国の沼川とは関わらないと按じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。