神の告げで湧く湯を得た別当
どんな伝承か
田村将軍が東夷征伐のとき三国山に陣を張ったが、白根山にこもる賊は手ごわく容易に降らなかった。そこで上野の榛名山、越後の伊夜彦山、信濃の諏訪の三社に祈って神力を借り、ただちに賊を平らげたという。将軍は三神を祀って三坂神社と称し、別当を置いた。社はのちに三国峠へ移され、別当は代々田村氏を名のった。数代のち別当の田村小太夫が中風で半身不随となり、毎朝社に平癒を祈ったところ、夢に神が現れて谷底の桂の大樹の下に湯が湧くと告げた。四十日の湯治で全快したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。