累の怨霊とお菊の解脱
どんな伝承か
羽生村の百姓与右衛門は、横曽根村の後家お杉を妻に迎えた。連れ子の助は姿かたちが醜く、疎んじた与右衛門はある夜ひそかに助を鬼怒川の七つ塚という落し堀へ誘い出して殺してしまう。のちに生まれた娘は殺された助と瓜二つで、生まれ変わりだろうと世間に言われ、累と呼ばれた。婿に入った谷五郎は財産目当てで、やはり累を川辺へ連れ出して手にかける。後添えは次々と病死し、末の娘お菊は婿を取った翌年から半狂乱となり、自分は二六年前に殺された累だと口走った。村人は弘経寺の修行僧祐天を招いて怨霊解脱の法を修させ、お菊は癒え、谷五郎も出家して助と累の供養に生涯を捧げたという。
原典より
今から三○○年ほど昔、羽生村の百姓で与右衛門という者が、横曽根村の後家お杉という女を妻にめとった。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。