馬に引きずられた河童の恩返し
どんな伝承か
村人が炭を馬の背に付けて川へさしかかると、例の河童が現れた。この日は人より図体の大きい馬を狙ったのか、尾を掴んでぐいぐい引っぱる。驚いた村人が力いっぱい馬に鞭を当てると、馬は全速力で走り出し、引き込もうとした河童のほうが馬小屋まで引きずられてしまった。水を離れた河童は隅で小さくなっているばかりで、悪戯者を殺そうとすると涙を流して命乞いをする。哀れに思った村人が放してやると、河童は十月十日の地鎮様の祭りまでに川へ橋を架けると言い残して帰った。それきり河童は人馬に悪戯をせず、祭りには立派な橋を架けて恩返しをしたという。
原典より
<高木——「河童退治」>昔、村人が炭を馬の背につけて川にさしかかると、果して例の河童が現われた。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。