悪口に怒って涸らした樽湧きの酒
どんな伝承か
昔、上屋敷の又平だいらに老夫婦が住んでいた。いつの頃からか、じいさんは夕方になると酒に酔ったような様子で帰るようになり、そんなときは口が悪くなってばあさんの悪口を言う。腹を立てたばあさんがあとをつけると、じいさんは清水のほとりでうまそうに水を飲んでいた。あとで自分も一口二口飲んでみると、それはうまい酒だったという。ばあさんは腹立ちまぎれにその湧き口へ小便をした。以来酒は出なくなってただの水になったが、今もそこを樽湧きと呼ぶと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。