地獄谷の姥捨てを解いた灰の縄
どんな伝承か
利根と吾妻の郡境にそびえる南山に、地獄谷と呼ばれる場所がある。むかしは六十になった年寄りを、さまざまな品を持たせてこの谷へ捨てたといい、いったん入れば二度と出てこられなかったと伝える。あるとき一人の孝行息子が、老いた母を捨てずに縁の下へかくまっていた。折しも隣国との戦に敗れた殿様から、灰で縄をなって差し出せという無理難題が下る。息子がこれを母に尋ねると答えが得られ、難題は解かれた。そのおかげで母は捨てずにすんだのだという。
原典より
<柳田――「親棄てもっこ」〉南山(利根郡と吾妻郡の境にある山)に地獄谷というところがある。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。