千反の布の筒矢で射た大幡神杉姫
どんな伝承か
当目の極楽寺の谷川にある大きな岩穴に猿鬼が城主として住み、十八鬼の郎党を従えていた。郎党を諸国に遣わして美女をさらい酒宴に明け暮れたので、出雲大社に集まった八百万の神々が退治の評定を下した。大将は一ノ宮気多大明神、副将軍は大屋ノ庄三井郷の大幡神杉姫が務めた。神杉姫が十二単を装って岩屋の前で猿を呼ぶと鬼どもが飛び出し、数千の矢を射たが秘術に阻まれて勝負がつかない。そこであら布引という所から千反の布を取り寄せて筒矢を作り、放つと猿鬼の眼に命中した。姫は逃げる猿鬼を追い、三条宗近の名刀で首を落としたという。首は気多大明神に奉り、死体は大箱村に埋めて、姫は僧に姿を変えて弔ったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。