白布に導かれた立山の開基
どんな伝承か
佐伯新左衛門の伝書によれば、文武天皇の大宝元年二月、四条大納言佐伯有若が勅命を受けて越中の国司となり、嫡男有頼とともに新川郡保の伏山へ居館を構えた。ある日、有頼が父秘蔵の白鷹を据えて狩りに出ると鷹が行方を失う。老翁が現れ、この布を頼りに尋ねよと告げ、自分は雄山の神だと言って消えた。風に舞う布を追うと熊が飛んで来て鷹を妨げたので射ると、熊は岩屋へ逃げ込み、そこで神と化して、この山を開かせるための方便であり自分は立山権現だと告げた。有頼は出家して慈興と改め、所々に仏閣を建てたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。