三千匹の大蛇を封じた泰澄
どんな伝承か
泰澄大師がはじめて白山に登ったとき、山上には三千匹の大蛇が棲みつき、ふもとの村々をひどく苦しめていた。白峰のあたりでこれを大蛇と呼ぶのは、蛇ではなく竜のことだという。大師は住民をあわれみ、大蛇をことごとく山上へ呼び集めて因果を説き、最も凶悪な千匹を斬って塚に葬った。それが旧道から弥陀ヶ原へ入るあたりに残る蛇塚である。次の千匹は千蛇ヶ池へ閉じ込め、雪を蓋とし、その蓋が失せれば真上のお宝蔵が崩れて池をふさぐ仕掛けにした。残る千匹は越前の刈込ヶ池に封じ、近くの大岩に大剣を立てて影を水面に映した。大蛇は鉄に触れると身が腐ると恐れるからだという。
原典より
泰澄大師が初めて白山に登られた時、山上には三千匹の大蛇が棲息して暴れまわり、山麓の住民を悩ますところ甚大なものがあった。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。