米山甚句に唄われた薬師と飛鉢
どんな伝承か
米山甚句に「往こか参らんしょか米山薬師」と唄われるとおり、米山は古くから航海者の目印となる霊山で、頂の御堂に祀られる薬師は加賀白山を開いた泰澄の作といわれる。泰澄は越前麻生津の人で、十二歳の頃から白山へ通ううちにそこへ住みついた。足が速く、今日は白山、明日は能登の山伏山という具合だったという。大宝二年、能登から来た沙弥が仕えるようになり、やがて二人は米山へ移って籠った。沙弥は沖を行く船へ鉢を飛ばして望みの品を乞い、応じない船は船脚を止めた。あるとき施しを断った米船の米俵を山まで巻き上げ、のちに返した。それが米山の名の起こりだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。