峨山和尚が救った墓中の赤子
どんな伝承か
門前の総持寺に峨山という高僧がいた。毎朝、酒井の永光寺へ勤めに通っていた。ある朝方のこと、山中の墓場のそばを過ぎると赤子の泣く声がする。村人に尋ねると、十日ほど前に向かいの妊婦が死んだという。その夜、寺男が若い嫁が賽銭を盗んだと訴えたので、和尚があとをつけた。嫁は飴屋へ寄り、さらに墓場へ入って小さな墓石の所で消えた。近づくと赤子の泣き声がし、次いで子守唄が聞こえる。墓を掘り返すと、死んだ嫁のかたわらで赤子が飴玉をなめていた。和尚は連れ帰って大切に育て、その子がのちの通幻寂霊になったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。