幣を立てて祈った御幣ヶ淵
どんな伝承か
文治三年、源義経は行者の姿になって奥州へ落ちのびようとし、本国を過ぎて三日市のあたりに至った。そこに北面の武士で桜井庄を領する水橋安芸守という者がいた。安芸守は相手が義経だと察して強く逗留を勧めたが、人に知られることを恐れ、娘が物の怪に苦しんでいるのを幸いとして祈禱を頼んだ。そこで義経主従十三人は上野川に出て、幣を水の流れに立てて祈った。おかげで人に怪しまれることもなかったといい、その場所は御幣ヶ淵と呼ばれるようになったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。