泳宮の池に鯉を放った天皇
どんな伝承か
『日本書紀』巻七が伝える景行天皇四年春二月の記事である。天皇が美濃へ行幸した際、側近から八坂入彦皇子の娘である弟媛が美しいと聞き、妃に迎えようとして弟媛の家へ向かった。弟媛は行幸を知って竹林に隠れてしまう。そこで天皇は弟媛を誘い出そうと泳宮という仮宮に入り、池に鯉を放って朝ごとに眺めて過ごした。鯉を見たさに忍んで来た弟媛を天皇は引き留めたが、弟媛は男女の交わりの道を望まぬと申し出て、代わりに姉の八坂入媛を後宮に入れるよう願った。天皇はこれを聞き入れ、八坂入媛を召して妃としたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。