犬に正体を暴かれた狢の管長
どんな伝承か
静岡県田方郡韮山町(現伊豆の国市)の話。イトコウの大屋という財産家が名主をしていた時、鎌倉の本山の管長が来るというので、犬嫌いの管長のために二里四方の犬を払ったという。管長は座敷で誰も寄せつけずに食事をしたが、長男のさとしが五つか六つの頃、引き戸を少し開けて見ると、芋汁に飯をあけてザブザブ食べていた。それが狢の化けた姿だったらしい。オハラの逸物犬という有名な犬が臭いを嗅ぎつけ、富士川でいよいよ舟に乗ろうとするところに食いつき、引っ張って行くと正体を現したという。管長が記念に描いた、ひょうたんから駒の絵が残り、その家の宝物として大切にされている。『伊豆昔話集』に載る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。