天城山で行き会う十七のはつ
どんな伝承か
伊豆の宗光寺村の百姓惣兵衛の娘はつは、十七歳のとき不意に家を出て帰らなかった。母が亡くなって三十三回忌に当たる年のその月日に、はつが自分の家の前にたたずんでいるのを近所の者が見つけて声をかけると、答えもせずに駆け出して、また行方知れずになった。その後も天城山へ薪取りや宮木曳きに入る者が、まれにはつに行き会うことがあり、いつも十七、八の顔かたちで、木の葉などを綴り合わせたものを身にまとい、声をかけると答えずに逃げて行くという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪談義(柳田國男選集 五巻)(柳田國男・柳田國男・妖怪学・1956年(昭和31年))
『妖怪談義(柳田國男選集 五巻)』は、柳田國男が妖怪についての論考を集め、昭和三十一年に自序を付して編んだ論集である。妖怪と幽霊の別を説く総論「妖怪談義」に始まり、川童・小豆洗い・ザシキワラシ・山姥・山男・大太法師・一つ目小僧・天狗などを、各地の言い伝えと方言の呼び名から考える。巻末に全国の妖怪の名を短い説明つきで集めた「妖怪名彙」を置き、大藤時彦の解説を付している。