三日三晩鳴り続けた椎の木の大石
どんな伝承か
三福に日吉神社という社がある。昔、社の裏山のおいせ坂という急な坂に「椎の木の大石」と呼ばれる大きな石が横たわっていた。あるとき麓の老婆がこの石の頭を傷つけたところ、その夜から石はづうんづうんと唸り出す。老婆は口もきけなくなり高熱を出して寝込み、石は三日三晩鳴り続けた。四日目の朝、老婆は元気に起きて、石神が夢枕に立って叱り、祀れば土地を守ろうと告げたと語った。人々が坂を登ると大石の下は二つに割れ、椎の太い根が食い込んでいた。以来ここに祠が建ち、鳴る石さんとして安産と子育ての神に。後にさびれたが、百姓の文吉の夢枕に神が立って娘の病を癒したことから祭が復活したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。