牡丹か石楠花か京丸の大木
どんな伝承か
『遠江古蹟図会』が記す。秋葉山から八里ほど奥の山中に周智郡京丸村という所があり、そこに牡丹の大木があるという。俗に丈は数十間、山の頂にあって、花盛りには谷へ落ちた花の径が三尺にもなると言うが、これは妄説である。木が高くても花が大きくなる道理はない。この牡丹には二説あり、牡丹ではなく石楠花だという者もあれば、花盛りに実際に確かめに行った人が、手鞠の木の白い花が数輪咲いたのを遠目に牡丹と見たのだと言う。またこの地には佐衛門佐という者が住む。往古、平家の落人が源平の乱を避けて来て土民となり、官名をそのまま名としたのだという。宗旨は浄土真宗で、親鸞上人自画の阿弥陀像を所持している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。