雪に籠った時頼と春哉の里
どんな伝承か
最明寺入道と呼ばれた時頼が諸国を行脚した折、人目まれなこの山里へ分け入り、冬の大雪に道を見失って、やむなくここで年を越したという。季節はずれの雉が訪れたのを、自分を見舞いに来たのかと哀れに思い、深雪の中でも雉は羽を打つ、おまえの心はいつも春だと詠んだ。その歌にちなんでこの地を春哉の里と呼ぶようになり、今もこの里の雉は寒のうちに羽音を立てるといわれる。名高い人の泊まった所だからと小さな庵を結んで肖像を安置し、毎年正月十四日に祭を営むのは、この日に時頼が里を発ったからだと伝える。近くには鎌倉という地名も残る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。