津波に消えた阿曽津千軒と七つの野
どんな伝承か
西野山を越えて琵琶湖岸へ出た所にある阿曽津は、昔『阿曽津千軒』といって多くの家があった。土地一番の大金持ちの老婆が皆に金を貸していたが、けちで容赦なく取り立てたので村人に恨まれ、ある夜、屋敷を襲われて竹簀に巻かれ湖へ投げ込まれた。折よく堅田の浦の漁師が老婆を見つけて救い介抱したので、老婆は恩返しに屋敷の竹林の竹を竿にすることを許し、漁舟を守ると約束して死んだ。まもなく婆の恨みは大津波となって阿曽津を襲い、逃げた村人は西野、松野、熊野、東柳野、中柳野、西柳野、磯野の七部落に分かれて住みついたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。