阿曽津千軒の姥と堅田の竹竿
どんな伝承か
高月町の阿曽津は、昔は阿曽津千軒と呼ばれ、琵琶湖の良港として栄えた所だという。そこに阿曽津の姥という長者がいて、金を貸しては弱い者や貧しい者を苦しめた。ある年は不作の田からも例年どおりの年貢を取り立て、足りないと田を取り上げて竹を植えてしまう。舟を貸しては無茶な取り分で魚を巻き上げもした。鬱憤のたまった若者たちは、その竹藪の青竹で長者を簀巻きにし、琵琶湖へ投げ込んだ。ところが堅田の漁師がちょうど通りかかって助けたので、長者は礼として、孫子の代まで阿曽津の竹を自由に舟の竿に使ってよいと申し出た。阿曽津の竹の竿は、寒い日でも手が凍らないと伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。