梨の杭に阻まれたジャガダンの大蛇
どんな伝承か
笠谷の山の斜面に窪んだところがあり、ジャガダン、ジャガダニという。そこに大蛇が住んでいて、大水の出たとき海へ出たいと村人に夢見せをした。うまく出してくれたら湯の町を繁盛させてやる、出さぬと言うならこの村は今より絶対に増やさせぬ、と告げたという。しかし蛇が出れば田も家も押しつぶされると考えた村人は、あたりの梨の木をすべて杭にして山から大川まで打ち込んだ。蛇は梨に触れると体が腐るので、とうとう出られなかった。そのため今も家は七軒しかない。村人は恨みを晴らすため旧暦八月一日に、太さは子どもの胴ほど、長さ五十メートルもある縄をない、大蛇に見立てて村中で引き合ってちぎる行事を行った。縄がちぎれれば大蛇を退治したことになり一日農休みがもらえたが、今はまったく行われていない。
原典より
笠谷の山の斜面に窪んだところがあって、ジャガダンとかジャガダニとかいう。—— 日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。