湯で鶏を鳴かせて広げた村境
どんな伝承か
昔、山が多かったので、時代が進むと統治のうえで山を分けねばならなくなった。曲谷と甲津原の山をどう分けるか庄屋どうしが話し合い、朝、一番鶏が鳴いたときを合図に出発すると決めた。曲谷の庄屋は少し知恵を働かせ、竹の上に鶏をとまらせて竹の中に湯を通した。鶏は足が暖かくなって夜明けと錯覚し、一番鶏が鳴いたので、甲津原の監視人ともども出発した。結局、曲谷は二時か三時頃、甲津原は四時か五時頃に出発したので、寝すぎたということでそこが境界線になり、今でも寝すぎ橋という地名が残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。