北門の龍絵で封じた大寺の井戸
どんな伝承か
堺市甲斐町、大寺の境内にある行基の井戸に一匹の大蛇が住んでいた。年に一度昇天するが、その日は必ず大雨大風の嵐になり、黒雲が舞い下って井戸の上に水柱が立つと、龍はそのまま天へ上った。附近の人々は毎年戸障子や屋根を破損されて恐れていた。ある夜、この龍が井戸を抜け出し、大寺の北門を出て人家を荒らした。人々は和尚に封じ込めを頼み、和尚は門の天井に龍の絵を描いて祈願し、さらに井戸の周囲に社を建てて白髪明神を祭り、龍の昇天を封じた。開口神社北門の天井には今も龍の絵があり、封じた井戸は雨乞の井戸、龍の這い出した所は蛇谷と呼ばれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。