松へ帰りたいと泣いた天女像
どんな伝承か
和泉国の住人某が木彫の天女像を買い求めたが、その像は夜になると毎晩のように「帰りたい帰りたい」と泣いた。不審に思っていると、ある夜、天女像が夢枕に立ち、自分は和泉の海浜にそびえる松の木の精である、その松は生えた場所から海までの距離と幹の高さが等しい、どうか帰して欲しいと言った。そこで某は和泉国中を探し歩き、貝塚でついに夢に示された松を発見して、その根もとに天女像を埋めた。以後この松を岸の姫松と呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。