常山落城の姫を隠した池の内
どんな伝承か
池の内では五月の節供にのぼりを立てない。天正三年に常山の城が落ちたとき、城主は六歳になる末の子を長谷井半之進という侍に託して城から逃がした。半之進は池の内まで落ちのび、百姓となって姫を育てる。やがて半之進の長男が成長し、姫を妻に迎えた。姫に男の子が生まれれば城主の血を引く者として危うい身になるため、その誕生を人目から隠そうと、村ではのぼりを立てないことにしたという。それ以来この習わしが続いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。