道浄堂の竜が奪った雨乞いの霊験
どんな伝承か
上房郡賀陽町の豊野に道浄という堂があり、左甚五郎の作と伝える大きな竜が納められていた。日照りが続くとこの竜を川へ運んで水で洗う。すると必ず雨が降ったという。ところがいつからか、竜は夜ごと堂の近くの柳のもとへ出て水を飲むようになった。飲み干されるために日照りがひどくなり、村人は困り果てた。ある男が水を飲んでいる竜の目を槍で突き刺したところ、竜は二度と水を飲みに出なくなったが、それきり雨乞いの効き目も失われてしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。