逆さに挿した源空の銀杏の杖
どんな伝承か
勝田郡奈義町高円に伝わる話である。僧源空、のちの法然上人が、我が仏法が栄えるにはこの銀杏が繁るべし、と念じて、銀杏の杖を逆さまに地へ挿し込んだ。その杖が根づいて育ち、大銀杏になったと伝えられる。同章の別条は、この木を菩提寺の境内にある大イチョウとし、また文献は擂木銀杏と呼んで、枝葉が四方に蔓のように垂れ下がるさまが擂木に似ていると記す。親条の作東町宮原に伝わる伊勢神女の逆さ杉と同じく、宗教者が挿した杖が芽を吹いて霊木となる杖立木伝説の一つである。『勝田郡誌』所収。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。