擂粉木の形に垂れる菩提寺の銀杏
どんな伝承か
『作陽誌』は、菩提寺の境内にある擂木銀杏について記す。またとない大木で、源空上人が幼いころ杖を逆さに挿したものだといい、枝葉が四方へ氷柱のように垂れ下がって擂粉木のような形をなす。長じた根は土に下りてさらに幹を生じ、別の木のようになるという。津山から六里十一町の道のりとする。同書は豊福鶴巣の『現の夢』を引き、この銀杏の根元の空洞に蜂が巣を作ったのを、高円村の市介と岩吉という者が斧で切り開いて取ったところ、気分が悪くなり、背に蜂の巣のような穴があき、誕生寺の法然上人を知らないのかとうわ言を言って死んだ、享保年間のことだと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。