稲を食う石神と紫の血を流した大岩
どんな伝承か
久米郡久米町の油木上にある七森神社には、高さ一丈五尺、周囲二丈という大岩がある。頂には穴があき、北へ向かって口を開けたような形をしている。昔、出雲国のある村で稲が実らず、人々が困っていたところ、一人の僧が現れ、美作の倭文庄にある石神がここまで来て穀物を食っているのだと告げた。村人たちが七森神社まで出向いて石を叩くと、彼らはたちまち倒れて死んだ。石の根もとからは紫の血が湧き出し、空模様も急に変わったという。出雲の人々は恐れて逃げ帰った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。