一夜の橋架けを阻んだ鶏の声
どんな伝承か
海士町に伝わる話。夫婦であった住吉さんと明神さんは仲たがいして離縁し、住吉さんは向かいの島に祀られ、身重の明神さんはこの島の宇受賀の氏神となった。生まれた子のやら姫は豊田の氏神になり、若い嫁は出産のたび二柱へ参ったという。別れてもこの島が恋しい住吉さんは、家督さんに一晩で橋を架けられるかと持ちかけ、勝負が決まった。家督さんが夕方から石を捨てて埋め立てていくと、あまんじゃくが夜半に鶏の鳴きまねをした。夜明けと思い込んだ家督さんは工事をやめてしまい、後にあまんじゃくを自分の宮の土台石の下に埋めたと語られる。
原典より
住吉さんという神さんが、この島へ来られたわけだね。—— 日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。