投げ上げた足半が得た漁業権
どんな伝承か
隠岐の島町津戸に伝わる話。大森島は島後の津戸と島前の海士町豊田の間にあり、距離では豊田に近い。海草や貝の宝庫であるこの島は、古くから両地区で所有が争われていた。代官は両方から同時に舟を出し、先に着いた側の所有にすると定めた。屈強な漕ぎ手が選ばれ、豊田の舟が先に着くかに見えたその時、津戸の舟に乗っていた老人が自分の履いていた足半を脱ぎ、島の上へ投げ上げた。それで勝ちは津戸となり、今もこの島の専用漁業権は津戸の住民にあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。