一声鳴いて福を呼ぶ鶏岩
どんな伝承か
大字蔵見の字四反田に、鶏岩と呼ばれる岩がある。そこから六町ほど離れた谷川のほとりに立つ、高さ四間ばかりの方錐形の巨岩である。中に金の鶏がいて年に一度だけ一声鳴き、その声を聞いた者には福が訪れると古くから語り伝えられ、村人は霊石として崇めてきた。この岩の建つ土地の持ち主が先年、六七間離れた夫婦岩とも呼ぶべきもう一つの岩を壊したところ、まもなく不幸が続き、村一番といわれた家の財産はことごとく人手に渡った。家族は次々に死に、屋敷は草に埋もれて一家は離散した。村人はみな鶏岩の祟りだと言っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。