静の岩屋に入って死んだ僧
どんな伝承か
米子の彦名、粟島山のふもとに静の岩屋と呼ばれる洞がある。入口の幅は四尺、奥行きは六間ほどで、内部は途中で折れ曲がっているという。土地の人々はここを少彦名神の住まいだったと信じてきた。百年ほど前、村の祥雲院の僧が中へ立ち入り、外へ出たとたんに耳も口も利かなくなって、一言も発しないまま三日後に亡くなったので、洞の奥がどうなっているかは今もわからない。昔この地の漁師の妻が人魚の肉を食べて長い命を保ち、この洞に住んでいたと伝わり、それゆえ八百比丘の岩屋とも呼ばれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。