二つの寺の鐘に走り死んだ犬
どんな伝承か
鳥取県西伯郡大山町に伝わる。昔、鈑戸の南と明間の北に、それぞれ大きな寺があった。二つの寺は用事のあるときのために犬を一匹飼っていて、用ができると鐘を撞いた。犬は鐘の鳴った方の寺へすぐに行き、書状を首に掛けてもう一方の寺へ届ける役をしていたという。ところがある時、どうしたことか両方の寺の鐘が同時に鳴った。犬はあちらへ行こうか、こちらへ行こうかと走り回ったあげく、とうとう死んでしまった。人々はこれを憐れんで、供養のために墓を作った。それが種原の犬の墓と呼ばれているものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。