金の扇で日を招いた牛島の長者
どんな伝承か
牛島の長者五左衛門は、ある年の正月二日に船の乗り初めをしようとした。だが持ち船が多すぎて、すべてに乗ることはできない。そこで牛島の沖から大槌島まで船を並べさせ、島の山の頂から一隻二隻と数え始めたが、数えきれぬうちに日が傾いてしまう。五左衛門は手にした金の扇をかざし、しばらく待ってくれと日を招き返した。西の島影へ沈みかけていた日はわずかに戻り、彼はようやく船数を数え終える。ところがその夜のうちに大しけとなり、船はことごとく沈んで長者は落ちぶれた。日輪と舟霊が怒ったのだと語られている。
原典より
<高木―「湖山の池」柳田―「湖山長者」>五左衛門は長者になってからある年の正月二日に舟の乗りぞめをしようとしたそうな。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。