大蛇を斬り瀬を溯った蛇切丸
どんな伝承か
北宇和郡津島町高田の稲中に石丸善助という庄屋がいた。八幡様に三日二夜の願をかけ、満願の朝に渦代まで来ると、岩の上で髪をとく美しい女が膝の赤子を預かってくれと頼む。善助は参詣を済ませてから岩に戻り、赤子を抱こうとした。すると腰の刀がひとりでに抜けて女もろとも赤子を斬り、川向こうの藪へ飛び込む。そこから尾を切られた大蛇が現れて川を上ったが、刀は追って斬り倒し、鞘に収まった。この刀は蛇切丸と名づけられた。後年の七月十六日、旧主越智氏の追善念仏が高田村の踊堂で催され、酔って帰る途中に善助は刀を失う。翌日は大洪水だったが、蛇切丸は瀬を溯って戻ってきたので、以後は瀬上り丸と称して家宝にしたという。
原典より
<高木——「百足丸」>昔、高田の稲中に石丸善助という庄屋さんがあった。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。