狒々猿退治と庚申祭りの起こり
どんな伝承か
幡多郡西土佐村奥屋内に伝わる。日照りが続いて稲が枯れそうになり、困った百姓が田の水口で独り言をこぼすと、どこからともなく、娘をくれれば雨を降らせてやるという声がした。一人娘でも差し上げると答えると黒雲が下りて雨が降り、稲は生き返った。やがて娘を迎えに来る日になり、泣き沈む百姓のもとへ殺生人と呼ばれる狩人が来て、自分が撃ち殺してやると言う。狩人は戸棚に隠れ、百姓が合図に鍋を二度叩くと、入ってきた大きな狒々猿を戸の隙間から撃ち倒した。ところがその後は雨が幾月も降り続いた。猿を殺した祟りだろうと猿を庚申様として祀ると天気は戻り、以来六十一日ごとの庚申の日に白餅を作って祭るようになったという。
原典より
<高木——「猿神退治」>昔、百姓さんがあったそうな。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。