ほら貝を吹いて回る庚申代待ち
どんな伝承か
庚申の夜を自分で明かさず、他の者に代わって待ってもらう代待ちという習わしがあった。大田市の波根町では、明治二十年か二十一年のころまで、修験者がほら貝を吹き鳴らしながら庚申代待ちと呼ばわって町を回っていたという。文献では『日次紀事』に見えるのが最も早いので、江戸の初めごろには行なわれていたと考えられる。慶長から元和にかけて、東寺の塔頭に庚申の日の祈禱を頼むのが例になっていたと公家の日記にも記されており、これが代待ちの祖型ではないかとみられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。