名和家が鰻を断つ庚申の言い伝え
どんな伝承か
馬渡の名和家では、古くから鰻を口にしてはならないとされてきた。庚申様を祀っているからだという。名和家の説明によれば、庚申様は四国の金毘羅宮にある象頭山庚申山に由来し、金毘羅すなわち大国主神の信仰にもとづく。金毘羅はもともと霊鷲山に棲む魚を祭神と仰いだもので、その魚は鰻の形をして尾に宝玉を持つとされる。それゆえ庚申の信仰では鰻が禁物になったのだという。さらに庚申の字を「金の兄申」と読み、金が我が身から去る意に通じるとして、そうならぬよう庚申を篤く敬ううちに、この禁忌が固まったとも語られていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。