弘法が否む喰はず芋の説
どんな伝承か
『賢山集』には弘法大師が自ら語る体で書かれた一節がある。四国で蛤をくれなかったので石にした、芋をくれなかったので食えぬようにした、と何か変わったことがあるたびに弘法のせいにされるのは迷惑だという。四国の喰はず蛤は漢名で石蛤、喰はず芋は野芋というもので、本草綱目に詳しく載っている。自分の仕業なら唐土には無いはずだが唐にもあり、日本でも四国に限らず諸国にあって、自分が生まれるずっと前からある物だ。決して自分のしたことではなく、牽強付会の説だと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。