石槌の神が八三郎を呼んだ呼び石
どんな伝承か
およそ三百年前、伊予の石槌郷から尾形八三郎という武士が家族とともに東祖谷の若林に移り住み、農業を営んでいた。ある朝、八三郎が伊予で信仰していた石槌尺毛の神が跡を追って若林の山頂に来られ、八三郎を呼んで永住したいと告げた。八三郎は村人と相談し、この神を若林の氏神として祀った。当時若林にあった三社の氏神は石槌の神に追われて麦生土へ移り、今も参拝されている。神が八三郎を呼んだ場所は呼び石と言われ、今も若林の山頂に残っている。
原典より
<柳田―「呼石」>今からおよそ三百年ほど昔に、伊予の石槌郷から、東祖谷の若林部落へ、尾形八三郎という武士が、家族とともに引越して来た。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。