大晦日に片目の馬を連れるやげんさん
どんな伝承か
徳島の三好郡池田町には、夜行さんによく似たやげんさんの言い伝えがある。市原麟一郎編『語りによる日本の民話・阿波池田の民話』によれば、やげんさんは大晦日の晩、片目の馬を連れて山の峰を通るという。その正体は、大晦日から正月にかけて村里をめぐり歩く歳神であろうと解説されている。歳神は正月様、若年様、歳徳神とも呼ばれ、正月に家々が迎え祀って、その年の実りと幸いを願う来訪神である。魔の通る道と恐れられた筋も、もとは神々が渡る道だったのかもしれないと著者は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。