無人となった聖天寺の本堂崩落
どんな伝承か
山川町(現吉野川市)の聖天寺は、旧名を源正律院という。深夜、首切れ馬に乗った夜行さんに追いかけられた村人が、この寺へ駆け込んで難を逃れたという言い伝えが残る。案内の多喜田昌裕氏によれば、十年ほど前に住職が兵庫へ移って寺が無人になったところ、そのわずか三日ほど後に本堂の屋根が崩れ落ちたという。それが夜行さんの仕返しなのかどうかは分からないと、氏は真顔で語った。本堂はその後取り壊され、今は残っていない。西法寺と同じ山川町東麓の地区にあり、夜行さんの通り道の伝承と結びついた寺である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。