落武者が名づけたという増間島
どんな伝承か
増間へ落ちのびた武者は、三浦半島から房州へ逃れ、小舟で着いたのが増間島であったという。すぐには上陸せず、しばらく島にとどまって様子をうかがっているうちに、さざえやあわびが転がり、釣れば魚もどっさりとれるので、この島が好きになった。夜を待って上陸し、増間に永住の地を定めた。何十年もたって追手の目を気づかう必要もなくなったころ、島のことを思い出して欲しくなり、大嵐のあと川の大水で島が流れたと言い立て、大勢で出かけて増間島と名づけ、自分たちの島にしてしまったのだと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。