橋供養のあと馬入川へ落ちた頼朝
どんな伝承か
相模川の架橋を思い立ったのは稲毛三郎重成であった。建久九年十二月二日、盛大な橋供養が営まれ、源頼朝もこれに臨んだ。ところが式のあと、頼朝を乗せた馬が何かに怯えて急に荒れ狂い、人々が呼び止める声も届かぬまま馬入川へ飛び込んだ。馬は川の中ほどでようやく止まったが、引き上げられた頼朝の衣裳には、驚いた川底の蜆が食いついていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。