水難と難産を救う妙伝寺の子安大明神
どんな伝承か
帯那の日蓮宗妙伝寺に子安様がまつられている。慶長のころ、浅原の五味四郎左衛門の妻は世にまれな美人であったが、湯を嫌ってすすぎも洗濯もすべて水でおこない、また陰毛が並はずれて長かった。人々はこういう女は生きながら水に入って竜になる前ぶれだと恐れた。妻は禍を逃れようと一子を出家させ、後に霊夢を得て長い毛を三筋切り、身延と御嶽山とこの寺に納めて、祈れば水難と難産を人に代わって救うと言い残し、雨の激しい日に釜無川へ身を投げた。寺はその遺像を子安大明神として祀っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。