真綿を巻いて祈るうば神様
どんな伝承か
山梨県南巨摩郡中富町宮木の伝え。宮木の井戸田の山の麓に姥神様がまつられている。昔、ある老婆が咳にひどく苦しみ、こんな苦しみは自分ひとりで十分だ、自分が死んだらうば神としてまつり、咳で悩む者は真綿をひとかけら持ってきて自分の首に巻いてほしい、代わりに首に巻いてある真綿を巻けば咳が治る、と言い残して死んだ。以来、咳に苦しむ者は真綿を姥神様の首に巻き、掛かっていた真綿と取り替えた。治れば礼として新しい真綿を巻いたという。戦前は年に一度祭りがあったが、戦後はいつからか絶えてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。