小麦まんじゅうを作る娘をさらった大天狗
どんな伝承か
北埼玉郡北川辺町飯積、いまの加須市飯積での話である。昔、ある農家の娘が六月一日に小麦まんじゅうをこしらえていたところ、突然に大天狗が現れて娘をさらっていった。村じゅうの者が総出で探したが行方は知れない。ところが翌朝になって、遍照寺という寺の松の梢に娘の亡骸がぶら下がっているのが見つかった。それ以来、飯積ではこの日に小麦まんじゅうを作る者がいなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。